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基礎研究部門
現在の精神医学は分子生物学、神経薬理学、神経解剖学、神経生理学、認知科学などの研究領域とともに、ヒトの精神機能の実体を脳の生理学的現象から説明するという人類未到の挑戦に奮闘しています。精神疾患の神経生物学的解明は、まさに現在の科学研究のなかで最も重要な領域の一つなのです。
当教室における基礎研究部門では、動物の行動モデルを用いて、機能解剖学的・行動薬理学的手法による実験研究を行っています(横山講師)。例えば、衝動性やうつ状態などをマウスやラットを用いて実験的に再現し、その神経メカニズムを明らかにしようという試みです。また、ラットの行動を実験心理学的側面から詳細に調べてみると、ヒトとは異なる「相違点」あるいは思いがけない「類似点」が見えてきます。医学の基礎研究において動物モデルが利用される以上、ヒト特有であると見なされてきた高次脳機能の動物モデルとの対応は厳密に評価されなくてはなりません。当部門では、精神医学教室の基礎研究部門という特徴を生かし、臨床経験に基づいた視点と比較認知行動学および神経科学的な視点を統合することにより、ヒトの高次脳機能に切り込んで行きたいと考えています。また、基礎研究で得られた成果を基に、実験心理学的理論に基づく臨床検査法の開発も進めています(舞鶴医療センター臨床研究部との共同研究)。
また、各種精神疾患の病態および薬物治療に関するエビデンスの解明を目指して、機能解剖学的・分子生物学的手法を用いた、薬物依存が形成される脳のメカニズムおよび向精神薬の作用機序に関する研究を行っています(土田学内講師)。現在は主に有機溶剤による依存のメカニズムを検索するために、神経終末における種々のモノアミン生合成・代謝あるいは開口分泌に関わる分子に及ぼす有機溶剤の影響を、免疫組織化学的手法を用いて調べています。
基礎研究部門では、診療・臨床研究部門の各グループを中心とした疾患の病態・治療に関する研究会とも交流し、活発な討論が行われています。特にSPECTやfunctional - MRI、PETなどのニューロイメージング手法を用いた臨床研究は、診断・治療のみならず高次脳機能の神経生物学的解明にとって重要な情報を与えてくれます。このように、基礎研究部門と診療・臨床研究部門は互いに連携し多角的な視点から意見を出し合うことによって、日常臨床に常にフィードバックできる研究活動を目指しています。
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