14.大切なもの
わたしは小さい頃から自然や動物が大好きで、
大学を卒業するときに鷹匠として自然の中で生き
抜く決心をしたわけですが、そのときから今まで、
どんなにつらいことがあっても、自分の生き方を
変えようと思ったことはありません。
きっと自分がいちばん好きなことをやっているか
ら、迷わずに来られたのでしょう。
いつの時代にも、当たり前のこととか標準的なことをとても気にして
生きている人がいます。そういう人から見ると、わたしはかなり個性的
な人間(はっきり言って変人)かもしれません。でも、人間にとって、
個性はとても大切なものだと思います。個性は人それぞれ違っていて、
その人にしかない、かけがえのないものです。
それをどんどん活かしていけば、その人だけの素晴らしい世界を築くこと
ができると信じています。それに、常識は時代が変われば変わるものです。
生きることは、常識にしばられないで自分で考えて行動することではない
でしょうか。
わたしにはもうすぐ中学生になる息子がいますが、とにかく好きなことを
見つけてほしいと思っています。わたしのように鷹匠になれとか、
そういう強制は絶対しませんし、自分で見つけた本当の自分の世界を
形づくっていってくれればそれでいいと思っています。
ただ、自然が好きな子供にだけはなってほしいので、いっしょに山登りを
したり、海に連れて行っていろんな魚や貝を捕まえて食べさせたりして、
自然のことを教え込んでいます。
わたしが自然の中で身につけた知識と技術と感性を伝えることができれば、
どんなことがあろうと生きていけますから。
それともうひとつ。こどもは人から教わるだけで
なく、自分でいろんな失敗の中から学んでいって
ほしいと思います。わたしが今まで、様々な失敗や挫折を繰り返してきたように、こどもにも本当につらいことを経験してほしいと思います。人は時には敗れなければなりません。どん底にたたき落とされながら、
そこから立ち上がる気概が人には必要です。それを学んでほしい。常に成功し勝ち誇る人間に、わたしは何の興味も魅力も感じることはできません。
松原英俊