東洋医学から見た椎間板ヘルニア、腰痛症、坐骨神

経痛について

 

先ず最初に、椎間板ヘルニアのヘルニアとは、日本語に訳せば「遊ぶ」とか「離れる」という意味です。椎間板ヘルニアは、椎骨と椎骨の間にある椎間円板から、その外周をなす線維輪の中の髄核が、外へ飛び出した状態を言います。

 髄核は、一粒の葡萄のような形質をしていて、多量の水分を含んだ、柔らかくてポチャポチャしたものです。その主な役割は、私たちが背を反らした時に、椎骨と椎骨の間から出ている神経や血管が押し潰されないように、神経と血管を前方へ押しやったり、反対に私たちが背を丸めた時に、神経と血管が前方で圧迫されないように、後方へ押しやるという仕事をしています。

 その髄核が外へ飛び出して、椎骨と椎骨の間から出ている神経と血管に触れて障るのが、「椎間板ヘルニアによる神経障害」で、腰痛や神経痛を伴います。

 では、椎間板ヘルニアによる障害は、一生の問題かと言えば、決してそのような事はありません。

 髄核は先述したように、一粒の葡萄のような形質をしていますが、一旦外へ飛び出すと、一年以内に干し葡萄のようになってしまい、周囲の組織と同化してしまいます。椎間板ヘルニアを起こしてから、一年以上も経過しているのに、レントゲン検査を受けると決まって、ヘルニアと診断されることがありますが、それは飛び出した髄核の痕跡が、髄核に近い形で、影になって写っているからです。

 ヘルニア障害のレントゲン検査には、もう一つ大きな弱点があります。私たち地上に住む者ばすべからく、重力の影響を受けていますが、レントゲンでは重力と椎間板の関係が出てこないと言うことです。

 例えば腰椎の一番と二番の間に、ヘルニアが生じた場合に、手術でヘルニア部分を除去しても、脆弱化した椎間円板やそれ以下の椎骨に、以前にも増して大きな負荷掛かって来るために、障害を除去することが出来ないのです。

 ヘルニア除去手術には、もう一つ大きな問題点があります。メスの入った部分の細胞は、にかわ状にくっつくために、その部分で血液の流れが止まったり,微弱な電気の流れも止まり、二次的な障害がおき易くなります。

 

 椎間板ヘルニアによる障害は、通常三十五歳までに起こり易く、五十歳を過ぎると起こりにくくなります。これは五十歳を越すと、椎骨間の互いの軟骨がくっつき出すために、ヘルニアが起きなくなるためです。

 臨床的に見ても、椎間板ヘルニアによる腰痛症や坐骨神経痛の割合は極めて少なく、それらの原因のほとんどは不明とされています。ただ東洋医学の観点からすれば、原因不明の見方も多少異なってきます。

 

  東洋医学から見た腰痛症、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア

 

 椎間板ヘルニアによる発症は、重い物を持った時や無理な姿勢をとった時に、起こり易いのですが、同じ物を持っていても、いつもギックリ腰を起こすわけではありませんし、同じ無理な姿勢をしたからといって、必ずヘルニアになるわけでもありません。また椎間板ヘルニアになったからといって、24時間毎日毎日激痛が走るわけでもありません。

 さらに腰の曲がった老人だからといって、皆がみんな腰痛に悩んでいるわけでもありません。

 以上列記したケースは、互いに脈絡がなく無関係のように見えますが、実際は明確な共通項で、互いを結ぶことができます。同じ姿勢、同じ動作、同じ物を持っていても、体が暖まっていて血液がコンスタントに流れていれば、ヘルニアは起きませんし、痛みも発生しません。反対に体が冷えていたり、寒さに体を晒していたり、風邪を引いている時には、ヘルニアを起こし易く、必ず痛みも発生します。動脈硬化症の人や、出産後に婦人科の働きの落ちた人も同様結果に陥ることがあります。

 

 何故以上のような事が起きるのか、例えを使って説明します。

腰の構造は

1、            腰椎とそこから出ている神経と血管

2、            それらを支えている筋肉と筋膜、加えて靭帯

3、            腎臓副腎、毛細血管群

などから成り立っています。

 

 腰の構造は全く突飛な例えですが、電源コードを差し込んだままのテレビを、紙と縄を使って、梱包した状態を想像するとよくわかります。

テレビのボディが筋肉、背面壁が背骨と血管、中の機械が腎臓副腎および毛細血管群、梱包紙が筋膜、縄が神経と考えた場合に、梱包紙が湿って、中のテレビに張り付いても具合が悪いですし、中のテレビの電源が偶然入っても、静電気や熱が発生して、梱包紙を吸着したり、熱による紙や縄の劣化を招きます。ヘルニアのように、テレビ本体の壁面の一部が、外に向かって飛び出しても、梱包紙や縄を傷つけてしまいます。また大変厄介な話ですが、テレビが老朽化すると、中の機械が暖まらないかぎり、画面が映らなくなることがあります。

 

 ((概説))

1、            腰痛症や坐骨神経痛の場合には、椎間板ヘルニアも含めて、寒さや体の冷えによって、筋肉や腱あるいはすじが縮み、神経や血管がヘルニアの先端部や痕跡部分に触れて、痛みや障害を引き起こすことがあります。痛みや症状はヘルニア障害に酷似しています。ヘルニアは外へ飛び出すわけですが、この場合は筋肉や筋膜が縮んで、神経や血管をヘルニアやその痕跡部分に近づけることによって、痛みを発生させるわけです。俗にギックリ腰といわれているものの一種です

2、            寒さや冷えの他に、風邪をひいた時かどには,生体防御反応から副腎皮質ホルモンが盛んに分泌されます。分泌活動をするということは、消耗を意味しますし、熱エネルギーの発生をも意味そます。炎症のために、筋肉と菌膜がくっつき易くなります。筋肉と筋膜の間にある毛細血管や神経が圧迫されて、筋膜炎を引き起こします。神経痛と異なり、痛みの場所が特定できなくて、腰全体、背中全体に痛みを感じることがあります。

3、            これは意味的には1と重複するのですが、すでにヘルニアではないのに、ヘルニアと同様の症状が出るのは何故か。飛び出した髄核は、先にも述べたように、一年以上経過すると、他の組織と同化してしまいますが、その痕跡部分虚血性の組織変化や許容以上の負荷が掛かるために、結合織(すじのかたまり)が出来ます。普段その部分と離れている神経と血管が、寒さや冷えのために筋肉が縮むと、結合織部分と触れて、ヘルニア障害と同様の痛みが出るのです。

4、            変形性腰椎症の人(高齢者)や動脈硬化症、あるいは出産後の人に多い腰痛症には、風邪引きや体の冷えんら、急に血流量が低下して、筋膜炎や神経痛を引き起こすものがあります。これも筋肉と筋膜がくっついてしまったり、いくつも続いている筋肉が縮むことによって、中を走っている神経を引っ張るために痛みが生じるのです。

5、        上記4と関連するかも知れませんが、老化現象の現れとして、ある年齢を越して来ると、朝起きた時や歩き出した時、あるいは立ち上がりざまに、肩や膝や腰に痛みが走り、歩き出したり、動き始めると痛みが消えることがあります。体が暖まってくると、虚血性の組織変化が改善され、痛みが消えるからです。この症状は、年齢が高くなればなるほど、治しづらくなります。朝起きた時に、寝たままの姿勢で、手足を十分に動かしてから、起き上がる以外に方法はないでしょう。

6、        例えば右膝内に骨棘が出来たとします。その場合は、右膝だけが痛みます。また右の椎間板ヘルニアの場合には、右腰のみが痛みます。ところが日をおくごとに、痛みが右へ行ったり、左へ行ったりすることがあります。これは整形外科的な要因以外の要素が加わっていることを意味しています。風邪引きや体の冷えている時に、無理な姿勢を続けたり、無理な動作を繰り返すと、負担の来る方の側に、神経痛や筋膜炎を起こすからです、この場合その時の状態によって、痛みが右へ行ったり、左へ行ったりします。

 

 人体とは不思議なもので、年齢を重ねるに従って、血管の弾力は無くなり、血流量も落ちてくるのですが、いつもコンスタントに血液が流れていれば、例え腰の曲がった人でも、痛みは全く出ません。風邪をひいたり、体が冷えた時に、急に血流量が落ちて、体を守るために熱が発生し、炎症となり、筋膜炎や神経炎()を引き起こすのです。ただ年齢が増せば増すほど、風邪や冷えに敏感になるのは当然です。

 人の暮らしにおける最適温度は、18度〜22度の間とされていますが、これも一応の目安であって、質座や風速あるいは風向きなどによって、それぞれの体感温度は違ってきますし、その人の体質やその時の体調によっても、多少のズレは出て来ます。しかし気温が18度を切って下がれば下がるほど、ストレス刺激は増大し、障害が起き易くなるのも当然です。

 気温と人との関係では、一日のうちでの気温差とか、前日との間の気温差が決定的な要因をなしているようで、一日のうちの温度差が4度を越すと、ほとんどの人に、何らかの症状が出てくるそうです。

 以上の16までが、西洋医学では原因不明とされている坐骨神経痛や腰痛症の実態です。数字ではなかなか表せないものだけに、一日のうちの気温差についても、極めて相対的な数字になるのは、やむをえないこととおもわれます。

 

  腰痛を防ぐための日常生活での注意点

主に風邪・冷え・寒さへの対策です

 

    うがい、手洗いの励行

    早寝、早起き(ただし冬は寝坊はるくらいに、ゆっくり起きて来ること)

    長風呂を避けること、汗をかくほど、湯船に浸からないこと。出来れば半身浴の方が良い。また体調不良の時は、入浴を避けること。

    晩秋から春先にかけて、電気敷毛布を使って休むのも良い、就寝時、木綿の混じった靴下を履いて寝るのも良い。ただし化繊の靴下はダメ

    腰や肩の痛い時には、アイスノンを当てて寝ると良い、刺身用の氷でも良い。ただしそれらを当てていると、気持ちが悪いくらいに冷たいとか、痛いくらいに冷たく感じた時は、当てるのをやめた方が良い

    お腹に使い捨てカイロを当てる。当てる場所はおへその付近か、左側のS字状結腸の付近が良い。カイロをする時には、低温やけどに注意すること、また腹膜炎や盲腸炎の時は厳禁、開腹手術をした人は、やけどをし易いので注意

    夏の間、クーラーの効いている部屋にいる時には、お腹にカイロをしていると良い

    腹式呼吸を多用すること

    寒さの厳しい時には、外出しないこと