フロレンティナの焙煎法
―豆との対話―

焼き上がり ふっくらと煎りあがったコーヒー豆には、美しい陶器をおもわせる風合があります。備前焼に似ていると云うひともいます。確かに備前焼の美しさは、匠の技もありましょうが、最終的には「火」の力によって紡ぎ出されるものです。あの素晴らしい「火だすき」や「窯変」は、地獄の業火のような灼熱の炎なしでは考えられません。火によって醸成されるという点では、面白い符合かも知れません。でも、ただ一つ違うところは、釜に入れたところで、陶芸家が「祈り」を始めるのに対して、私達がコーヒーと「対話」を始めるということではないでしょうか?   

葉っぱ

   豆との対話は、生豆から始まります。皆さんご存知の通り、世界各地にコーヒーの産地があり、長い旅路の末に私たちのてもとに届くのです。長いこと生豆は産地ごとに特徴づけられ、分類されてきました。キリマンジャロは酸味が強く、マンデリンは苦い。これは自明のことと思われがちですが、果たしてそれだけでしょうか。ほろ苦いキリマンジャロだってあるのです。生産農家の土壌・立地条件・その年の天候など、さまざまな要因によって、豆一粒一粒に、その生活史が刻まれてるのです。私達は産地にとらわれず、その一粒の生豆のおいたちに耳を傾けたいと考えています. 生豆



焙煎器 これがフロレンティナの焙煎器です。豆とおしゃべりするための”通訳”といっていいかもしれません。永年使ってきたので、多少くたびれて見えますが、なかなかどうして出来る奴です。豆の声をビビッドに伝えてくれます。生豆を入れて回し始めると、カラカラという音で、その豆の水分量を教えてくれます。パチパチ爆ぜる音はうるさいくらい。薄皮もバンバン飛び散ります。私達はこの”出来る”通訳をとおして、火加減で豆の言葉に応えるのです。   

ドングリ

   おしまいに紹介するのは、焙煎器の相棒”クーリング・マシン”です。内部に強力なファンが取り付けられていて、豆の熱気を煙ごと奪い取ってしまう憎い奴です。これのおかげで、私達は豆の「もう冷やして!」という言葉に風という言葉で返事ができるのです。 冷却器





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