褥そうのラップ療法について紹介します。
以前はこのコーナーで症例の写真を掲載しておりましたが、
最近は持込の症例を除いて褥そうの発生が少ないので、
写真はあまり更新できません。あしからず。
褥そうのケアに関する書物は多く出版されていて、
それぞれに理論と実践が述べられています。
それらをまとめると、次のようです。
褥そう発生の要因は、栄養と血行の状態、局所に加わる圧力である。
リスクの評価方法が何種類かあって、総合的な評価が考えられている。
治療については、褥そうを黒色期、黄色期、赤色期、上皮形成の時期などに分けるのが一般的で、
それぞれの時期に応じた適切な処置が必要である。
多様な軟こうやフィルムの使用法を解説してくれてある。
しかし、書物を通読すると、「ややこしい。」という印象がぬぐえません。
褥そう治療として、ラップを使う方法を1997年から発表された先生がいらっしゃいます。
それは、鳥谷部俊一先生で、ホームページで詳しく説明されています。
開放性ウェットドレッシング療法
参考書は水原章浩先生の著書「傷の正しい治し方」金原出版が良いでしょう。
基本的な方法は、毎日、傷を生理食塩水あるいは水で穏やかに洗い、
軽く水分を除いてから、ラップで被ってテープで固定します。
壊死組織は適宜ハサミで除去するが、特別な技術は必要としません。
除去できるところを取り除きましょう。
無理をして出血させてはいけません。根気良く、洗浄とラップを続けましょう。
全身の感染症、糖尿病のコントロールは良くしておかないと、
褥そうは治りませんが、ことさらに高カロリーの栄養を必要とするわけではなさそうです。
この方法のよいところは、良く治る、安い、簡単、
ラップは透明なので傷の状態を簡単に観察できる、などです。
Case
仙骨部から右大転子部にかけての広い褥瘡です。
中央部下方にポケットもみられます。
横幅は少し小さくなりましたが、縦にはやや伸びました。
褥瘡の治癒過程で、このような傷の変形はみられるようです。
1ケ月後、全体に横長になりました。ポケットも縮小しています。
3ケ月後、幅の狭い所は融合して2つの傷に分かれました。
4ケ月後、あと一息のところまで来ました。
褥創治療の道のりは、長いように見えますが、
体位変換をしたり、おむつのお世話をしたりするのと同じことですから、
あまり大袈裟に考えないで、毎日、処置を続けましょう。「継続は力なり」です。
ラップ療法、多くの医療機関で是非、試してもらいたい方法です。