紹介





私の思い出  愛犬ペス
皆さんもこんな思い出があるのではないでしょうか。

昭和00年に私は縁あって森田病院に入社しました。
 その後萩に移ってくるまでは、マンション住まいであったため飼いたいと思っていたペットを飼えないでいました。12月に庭のある家に移転してきた当時私たち夫婦には子供がなく、早速三島の町のペットショップを訪れた。
 駅前の楽寿園のそばにペットショップがあり何匹かの子犬がカゴの中で買ってもらえる日を待っていた。その中の一匹が、その時求めたわが家の、愛犬「ペス」だった。「柴犬」と表示されていたが目が大きくてチョット見にこれは柴犬ではないな〜と思ったが、とても可愛くて《買ってください》という表情をしているような気がして夫婦で飼うことに決めた。生後三ヵ月程度ということで愛くるしい仕草がたまらなく可愛くて、雄犬なのについ赤い首輪を買ってあげてしまった。食器もそろえ散歩用の引き紐もそろえた。大変利発で(自分たち夫婦は勝手にそう思っていた)雑種にしてはまずまずかなと考えていた。番犬としても大変優秀だった。わが家の前は幹線道路になっており街灯もついていたので、夜になるとわが家の前に団地の住宅を訪ねる人たちが地図を見るのによく駐車するのだった。するとペスは猛烈な勢いで階段を駆け降り吠えたてるものだから、駐車した人もたまらなくなり早々と退散するしかなかったのだ。わが家を訪問する初めての方にも同じ事でした。しかし一旦玄関に入った人には、帰るときには、いっさい吠えることはなかった。不思議な気がしたものです。
 平成00年に長女祐子がうまれるまで私たち夫婦に喜びを与え続けてくれた。
 何年かが過ぎ愛犬ペスも大人の雄犬になり、春ともなれば陽気に誘われてウキウキしてくるのでしょうか、そわそわして落ち着かなくなるのです。彼はなんとかして出かけたいと常々願っていたようだ。だれかがわが家を訪問する機会を狙っていたのです。階段下の門扉を開けたままで上がってくる人のわきをスルリと摺り抜け逃避行を敢行したのです。いつも2〜3時間で帰ってはくるのですが。
 ある日お出掛直後に私が目撃した時の事です。門を出た直後に名前を呼んだり口笛を吹いて呼び戻そうとするのだが、彼は何度か振り返りながら出かけてしまった。その後ろ姿といいますと、お尻がピョコン、ピョコンと跳ねていかにもうれしそうな雰囲気だった。帰ってくるときがこれまた面白い。玄関横の小道を裏門から帰ってくるのだが、路の端っこに「伏せ」の状態でこちらを伺っています。そのうち二三歩歩いては伏せ、また二三歩歩いては伏せるのです。まるで軍隊の「ほふく前進」ではありませんか。それを繰り返し門を通り抜け私のそばを擦り抜けて自分の小屋へ入って行きます。悪い事をしたとの認識はあるようだが、反省は全くありません。娘が生まれてからは遊び相手にもなってくれました。
 平成00年、ことしで16才。人間でいうなら90才くらいでしょうか。しかし10月20日の朝、声をかけてももう甘えてはくれませんでした。よく今日この日まで頑張って生きていてくれたと思います。晩年は目も全く見えず、耳もほとんど聞こえないようでした。でも彼は、わが家の「愛犬ペス」でした。最後まで。