パリ経由でフランス南部の町、トゥールーズのホテルに入った。今回はここからカトリックの信者の巡礼の地として知られる、ルルドを観光したあと、ピレネー山脈をトレッキングしながら、スペインに至るというスケジュールだった。
トゥールーズは、“ピンクの街”の別称がある。建物の多くが薄く赤みを帯びているのが多いためだ。“パリの蕩児”と呼ばれた画家、ロートレック生誕の街でもある。
さて、ホテルで旅行カバンを開けようとしたが、暗証番号が合わないのかどうか、何度やっても開かない。ホテルの鍵をすき間に入れて、こじ開けようとしたら、キーの方が折れてしまった。番号は確かネコの誕生日のはずだ。日本に電話してカミさんを起こして聞いたが、番号に間違いはなかった。
幸い、洗面用具などは、デイパックに入れて持ち歩いているからいいし、登山靴はピレネーのどの街でも売っているから、心配はいらない。ただ、パンツぐらいは替えたい。同行の木内國次さんと一緒に夜の街へ出た。
ショッピングは英語が全く通じない。驚いたことにパンツが通じない。アマゾンの裸族の村でアイラブユーが通じなかった時以来のショックである。パンツ、パンティー、あるいは身ぶり手ぶりでショーツ、アンダーウエアーなど知っている単語を連呼したら、店主は二ヤリとして、数軒先の店を教えてくれた。ホッとして出向いて見ると、婦人用下着の店だった。どうやらその筋の愛好家に間違えられたようだ。そこでも「メンズパンツショップに行きたい」と英語でいうと、またも別の店を指さす。そこはスポーツ用品店だった。ここでも分ってもらえず、時間も遅くなった。木内さんが「オレ新品のパンツの替えが三枚あるから、一枚あげるよ」という。なんともシックリしないトホホな夜となった。
いまいましい旅行カバンはとうとう開かず日本に帰ってきた。家でドライバーを突っ込んだら桃太郎の桃のようにパックリと開いた。単純に金具がさび付いていただけだった。
つづく
|