トウガラシは「唐辛子」と書くので、中国から渡来したのだろうと思っていたが、どうやら秀吉の朝鮮出兵のときに持ち帰ったもののようだ。元々は熱帯アメリカ原産で、1493年にコロンブスによってスペインに入った。その後欧州に広がり、インド、東南アジアを経由して、中国には16,17世紀に入った。
日本ではうどんの薬味として欠かせない存在となり、醤油や味噌との相性がいいので、米飯文化に適合して今日に至っている。各種ビタミン類が多く含まれているうえ、キムチなどを食べてみてもわかるように、食欲増進効果が著しい。僕の子供のころはよく、“辛子味噌”とよぶ、シソの葉でくるんだご飯のおかずが出た。熱いご飯に乗せると、一個で一膳(ぜん)食べちゃうほどだった。これもトウガラシ効果だったのだろう。
こんなわけで、まだ山荘の畑がないころから、プランターでトウガラシを作っていた。今も5月に鷹の爪という、いかにもピリカラ風のトウガラシの苗を5鉢ほど買い求めて、畑に植えている。少ないようだが、これで我が家の1年分である。9月ごろのまだ青い実のうちから、スパゲティーの具などに利用し、赤く熱したら部屋につるしてドライフラワーと一緒に飾る。娘たちはクリスマス飾りに使ったりしていた。
この間も、必要に応じてつまんでは消費するのだが、正月も過ぎるころには乾いてカラカラになる。そこですべてをもぎ取り、すり鉢に入れて粉にする。これが意外と大変で、ベランダなど屋外でやらないと、クシャミが止まらなくなる。マスクなどをしてやるのが正しい。僕はタオルを顔に巻いて作業する。
この“一味”が逸品である。たぶん、どこで買ったトウガラシよりもうまい。香り豊かで、辛いのに甘く、甘いのに辛い。微妙なくすぐりが食欲を刺激する。ただし、酒が飲めない人がいるように、辛いものがからきし駄目という人もいるので注意が必要だ。
それにしても、トウガラシとコショウ、うまく住み分けて、どちらも食生活に欠かせない。
つづく
|