テレビを観ていたら、日本人の多くは靴の選び方が間違っている、といった結論の番組があった。ゲストの沢田研二さんも神田うのさんも、観ている僕も靴選びのポイントを外していた。 ピタリと合った靴を正しく履くと、体脂肪が付きにくいのだという。これが長い距離を歩く山靴だったらどうだろう? もっともっと厳しい結果が出たに違いない。僕もなかなかフィットする靴がないと、嘆く割には、ままよとばかりの衝動買いが多い。反省しよう。 ともかく山靴を選ぶときは、1日がかりのつもりで、じっくりゆっくり選んだ方が良い。山へ行けば、体の1部になると思い、多少の出費も覚悟すベきだ。 そこで里山などで1〜2度慣らし、フィット感を確かめてから、本格的な山に登ろう。僕はいきなり新しい靴で雲取山に登り、往生したことがある。 |

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明治生命保険代理社が発行しているPR紙「黎明」に連載された山歩きエッセイです。 |
| さて、今回は富士山、立山と並んで、日本3大名山と呼ばれる白山に登ってみよう。白山といっても山頂部は、御前峰(2,702) 大汝峰(2,664)剣ケ峰(2,677) などが連なっていて、御前峰に白山奥宮が祭られている。ちょっと日本離れした壮大な山容だ。 僕は別当出合から、砂防新道を登り、南竜山荘に1泊した。夜は自然観察員の人達がスライドで白山の高山植物を解説してくれる。たぶん夏休みの間だけのことだろうが、こうした催しへの参加が、旅の印象を深くしてくれる。 翌日は深い霧であった。気分が落込みそうになる。なぜって今日登るコースは、白山1の“展望コース”だったからである。皮肉だ。 しかし、山の格言に「朝霧は晴れ」というのがあり、この言葉を信じて登った結果、なんと、御前峰に着いたとたん、雲が割れた。まるで、昔覿た『ペンハー』という映画のシーンのように、太陽がまぶしい光をそそぎ始め、あっという間に夏空が広がったのである。うーん、さすが神の山だ(笑)。 晴れると北アルプスの槍ヶ岳や穂高岳も見える。白馬岳や鹿島槍も見える。それより何より、白山自体がすごい。荒々しく、神々しく、水をたたえ美しい花の咲く、大小の池の周囲は、何とも慈しみに満ちている。 我々は喚声を上げ、喜びにひたるうちに、しだいに無口になって、じっとそれぞれの思いに返って行く。僕の登山はたいてい物見遊山的な、楽しい山旅をモットーとしているが、白山のような素晴らしい山上では、心身がキリリと引き締まるのを感じる。 下山後は、白山本宮白山比v神社にお参りすれば、山頂と合わせて、多大な御利益があるかも知れない。 |
| (C)Illustration: Takeshi Hinoura |

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