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楽しきかな山歩き

 僕は宮城の北部の生まれである。今は故郷の田んぼの真ん中に新幹線が走り、くりこま高原駅がある。そこのホームに立って北の方を見ると栗駒山(1,627)がたおやかにそびえている。僕はずっとその山を眺めて育って来た。
 今回は僕の古里の山に登ってみよう。仙台からも近く、ちょうど東北の中心部にあり、周辺には温泉も豊富なので、宮城県側や岩手県側、あるいは秋田県側からもトレイルが伸びている。山麓は山形県方面にまで続いているので、本当に大きな山なのだが、主峰だけを目指すのであれば、初心者向きのコースとなる。
 ちなみに僕がこの山に初めて登ったのは、中学1年の学校登山だった。高校や大学の時にも登り、子どもが小学生になったばかりの夏は家族と1緒に登った。
楽しきかな山歩き
楽しきかな山歩き
 

明治生命保険代理社が発行しているPR紙「黎明」に連載された山歩きエッセイです。

●第1回
●第2回
●第3回
●第4回
●第5回
●第6回
●第7回
●第8回
●第9回
●第10回
 こんなことからも分かるように、家族登山などに向く優しい山である。それなのに夏でも雪渓があるし、お花畑も広がっているので、人気が高い。また紅葉も大変見事だ。
 さて、今回のコースは北側の須川高原温泉から登るトレイルだ。ここの千人風呂はすごい。湯の量も毎秒3トンといわれるので、ここに1泊して、翌朝登山というのがおすすめだ。
 周辺は天然の庭園のようで、溶岩がゴロゴロしている。その南方に栗駒山が丸くおだやかな姿を見せている。50分ほどなだらかな道を行くと、右手にトルコブルーの池が見えて来る。昭和湖だ。この小さな湖はなんと僕と同じ年である!?。つまり昭和19年に火山の爆発で生まれたのだ。同級生の湖に向かって「よう、元気か?」なんて声をかけたりするのが楽しい。
 ここで記念写真を撮ったりして1休みしよう。ここから先がやや急坂になるが、まあたいしたことはない。約40分、1汗かいて馬の背のような広い尾根に出る。ここは須川分岐と呼ばれる所で、3方からの道の合流点だ。
 この合流点まで来れば、あとは左に道をとって20分も行くと、キャッチボールでも出来そうな広い山頂に着く。
 独立峰なので4方8方の高い山が望める。宮城の蔵王、山形の月山、岩手の早池峰などが見えるので、山座同定(山の確認)が楽しい。
 下りはお花畑の広がる東栗駒コースにしよう。ゆったりしているし、花園を散歩している間に、やがてハイマツ帯から樹林帯へと入り、やがてレストハウスのあるイワカガミ平に着く。できれば近くの駒ノ湯で汗を流して帰りたいものだ。

(C)Illustration:
Takeshi Hinoura
●第11回
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