志賀高原の北東部にそびえる岩菅山(2,295)は、リフトを利用すると楽に登れる。僕は発哺温泉から、東館山ゴンドラリフトに乗って6分。あっという間に2千メートル近い東館山山頂に着いた。ここは高山植物園になっているが、秋に登るともう見るべき花が少ない。その代わり谷をはさんだ北側の、あの冬季長野オリンピックのスキー会場となっておなじみになった、焼額山スキー場方面の紅葉がすごい。 |

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明治生命保険代理社が発行しているPR紙「黎明」に連載された山歩きエッセイです。 |
| (C)Illustration: Takeshi Hinoura |

| 山頂駅からしばらくは、スキー場の枯草を踏んで登る。それで寺小屋山(2,125)まで行き、あとは比較的平坦な尾根道をアップダウンしながら行くと、赤石山との分岐を過ぎる。その辺で突然行く手に岩菅山が姿を現す。ここは驚く。天気が良ければ、かならず1枚写真を撮りたくなるだろう。 草紅葉の中に針葉樹の緑のコントラストが美しく、さらに笹の葉が風にひるがえって、銀色に光る様子は、言葉に尽くせない微妙な優しさである。そして青い空と白い雲。その中に凛々しく岩菅山が立つ。う−ん。晴れ姿だ。 左に魚野川の源流域を見ながら登って行くと、しだいに傾斜がきつくなる。山頂はもうすぐなので、じっくりゆっくり登れば、右側がスパッと切り立った、大展望の山頂に着く。奥の方にはこれまた立派な宮様の登山記念碑がある。 西側はるかには北アルプスらしい稜線が見え、南側近くには志賀高原の山々、そして東には苗場山や谷川岳などが思いがけない近さに見える。1緒に登った地元の人達が、キノコ鍋を作ってくれたので、フーフー言いながら食べたが、こうした山項で食べる秋の味覚は、他のどこにも勝る味だった。お陰で少し多いかなと思っていた2つのオニギリをペロリと平らげてしまった。 昼食を楽しんでいるうちに、源流域からしきりに雲がわいていたので、天気が悪くなるのかと思ったが、大丈夫だった。帰途は変な名前のノッキリと言う場所まで戻り、そこから右に折れて1ノ瀬に向かう。この辺りの紅葉は素晴らしく、その紅葉越しに見る岩菅山が悲しいはど美しいのである。 小風が起きるとバラバラと棄が散る。まさに密やかな自然のいとなみの最中に、おじゃました感じの下山路だった。取材日は1昨年の1月11日。今年もおそらくその頃が紅葉の盛りとなるだろう。 |
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