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成人の百日咳が多発!!

 

 百日咳は乳幼児、小児の感染症であると一般的には認識されている。乳幼児の罹患率は、DPTワクチンの高い接種率のおかげで減少したが、近年成人の百日咳感染が増加傾向にあり注目されている。小児科定点観測でも増加し、15歳以上の感染率は氷山の一角で実際にはかなり多いと思われる。

 2007年5月〜7月のあいだに、四国の2国立大学医学部での集団発生があり、学生、職員に多数の発症例が確認された。更に、青森県の消防署でも署員、友人、家族での集団発生も報告されている。呼吸器、アレルギーの専門医の間では、成人の頑固な長期に続く咳は、百日咳感染症を疑うのが常識的になっている。発症原因は、予防接種率の低下、予防接種による免疫持続期間が不充分、流行株の変異等が考えられるが、ワクチンによる免疫持続の低下が一番考えられる。その理由には、諸外国では追加免疫を、百日咳を含んだ3種混合ワクチンで実施しているのに対して、日本では追加免疫を12〜13歳に破傷風、ジフテリアの2種混合で実施している点が起因しているものと考えられる。

 更に成人の流行を助長している理由として、乳幼児の百日咳と異なり、成人ではその診断が比較的困難な点が指摘されている。産業医としては、事業場内での流行を予防阻止するために、充分注意する必要がある。その為、「百日咳診断の目安」を参考にしてもらえれば幸いである。なお、詳細について「京都医報」(1888 平成20年7月1日号)を読んで頂きたい。
 
               京都産業保健推進センター産業医学相談員 竹内 宏一


 百日咳診断の目安 2008(案)

臨床症状 14日以上の咳があり、かつ下記症状を1つ以上伴う

 1 発作性の咳込み

 2 吸気性笛声(whoop)

 3 咳込み後の嘔吐                  (CHD 1997 WHO 2000)

実験室診断

 発症から4週間以内:培養とPCR 4週間以降:血清診断 (CDC,FDA,Hewlett EL 2005)

 1 百日咳菌分離

 2 遺伝子診断:PCR法またはLAMP

 3 血清診断(ペアー血清での有意上昇を基本とする)

(1)   凝集素価

1)      DTPワクチン未接種児・者:流行株(山口株)、ワクチン株(東浜株)いずれか40倍以上

2)      DTPワクチン接種児または不明

A)     ペアー血清:流行株、ワクチン株いずれか4倍以上の上昇

B)     単血清

a)      DTPワクチン最終接種から2年以上:流行株、ワクチン株いずれか40倍以上

b)      DTPワクチン最終接種から2年以内

                                                      i.          凝集原を含まないワクチン接種児:ワクチン株、流行株いずれかが40倍以上

                                                    ii.          凝集原を含むワクチン接種児:ペアー血清でいずれかの株の4倍以上の上昇

(2)   EIA PT(百日咳毒素 pertussis toxin-IgG

1)      DTPワクチン未接種児・者:10EU/ml 以上

2)      DTPワクチン接種児・者または不明

A)     ペアー血清:2倍以上 を基本

B)     単血清(参考) 94EU/ml 以上 (Baughman AL 2004)

100 EU/ml 以上  (de Melker HE 2000)

臨床診断 臨床症状は該当するが、実験室診断はいずれも該当しない

確定診断   1)臨床診断は該当し、実験室診断の1〜3のいずれかが該当する

 2)臨床症状は該当し、実験室診断された患者との接触があったとき